ホーム > プログラムについて > プログラム責任者・コーディネーター挨拶

プログラム責任者・コーディネーター挨拶

プログラム責任者挨拶

写真:プログラム責任者 國枝 秀世

地表の人類は、わずか100kmに満たない大気により、宇宙からの粒子、紫外線、X線から守られて来ました。人類がその大気の壁を越え、「宇宙」に出る手段を手にいれたのはほんの50年前のことです。その時から人類は、大気の外から初めて見る宇宙の姿に驚かされて来ました。そして、その宇宙に出ないとできない地球観測、通信、更には無重力実験が現実のものとなりました。もう一つの人類の夢である地球外への人類の進出は高度数百kmの宇宙ステーションに留まらず、月に人類を送り、火星への道を開こうとしています。地上では想像もつかない宇宙に人類は強いあこがれを持って来ました。これを読んでいる皆さんもその一人だと思います。

しかし、そこに至るには、地球の重力の呪縛から如何に逃れるか、宇宙空間の厳しい環境に如何に耐えるか、高いハードルがあります。今回、私たちが始めようとしているのは、大学院生の皆さんに、この宇宙への挑戦の厳しさと喜びを体感して貰う事です。それは、宇宙でのミッションを考える事から始まります。宇宙に出る事でのみ実現可能な実験、観測を企画することは地上の実験にとらわれることなく、新しい創造の翼を与えてくれます。次のステップは、観測・実験の目的達成のための要求を満たしつつ、打上げ時の激しい振動・衝撃・音圧に耐えるミッションの設計です。軌道上での真空、温度振幅、無重力なども考慮した搭載機器の詳細設計、そして試作をし、厳しい振動・衝撃を模擬した環境試験をするのがChubuSat Programです。そこまで生き残る機器ができれば実際のフライトまで進めようと考えています。

このプログラムでは宇宙開発に関する基礎的な知識を広く学び、それを実験で確かめ、将来、宇宙関連の企業、研究機関で活躍する人材を育てようと言うものです。宇宙開発で最も重要な事は、厳しい環境でも高い信頼性を実現することであり、単に座学ではなく実感としてその精神を身につけることです。私も数々の飛翔体打上げ実験に関わって来ました。みなさんもその興奮を一緒に目指しましょう。

プログラム責任者
前島 正義
副総長・教授

プログラムコーディネーター挨拶

写真:プログラムコーディネーター 田島 宏康

宇宙は人類最後のフロンティアといわれていますが、現代社会の基盤はすでに通信・放送衛星、GPSなどの宇宙インフラに深く依存しており、その利用を拡大する時代に移りつつあります。こうした宇宙インフラおよび地球上の人類の営みを支配する地球を取り巻く太陽地球環境をはじめとする宇宙を理解し、人類の生活基盤を保護し安全安心を保つための技術を開発し有効に利用することは、人類の重要な課題です。

しかしながら、日本をはじめとする先進国の宇宙開発予算は頭打ち傾向にあり、中国、韓国、インドなどが激しく追い上げている状況にあります。このような状況において、欧米諸国ではPhD取得者を大量に動員して民間の宇宙利用を拡大することで宇宙産業の振興をはかっています。このような世界的な競争の中で、日本は宇宙科学や宇宙技術・先端材料開発など個々の技術では世界に引けをとりませんが、プロジェクトを提案し実行力を持って実施する国際的リーダーが不足しており、得意分野の最先端の知見や技術が宇宙産業に必ずしも有効に活かされていないのが現状です。

名古屋大学博士課程教育リーディングプログラム「フロンティア宇宙開拓リーダー養成プログラム」では、航空宇宙産業の中核である中部地区にある名古屋大学の特長を活かし、「宇宙」を基軸として最先端の知見や技術を俯瞰的視野で統合し産業にも活かす国際的リーダーを次世代産業に広く輩出し、そのネットワークを通して市民生活の向上に寄与する宇宙利用の拡大につなげることを目指しています。

本プログラムでは、学生が自分自身の経験を通して成長することを重視しており、その中核となるのがChubuSat実践プログラムでは、名古屋大学が主導する産学協同人工衛星プロジェクトであるChubuSat衛星を活用した宇宙開発・宇宙利用を実践します。そこでは、実験をあらかじめ決められた手順通りにこなすのではなく、異なる分野に所属する6-10名のチームで学生が主体となって切磋琢磨し、失敗を乗り越えながらプロジェクトを計画・推進することにより、異分野間の学生の交流を進めるとともに「企画立案能力」「組織マネジメント能力」「問題解決能力」など、広く産業の発展をリードするのに必要な能力を養成します。

本プログラムの運営には、理学研究科素粒子宇宙物理学専攻、素粒子宇宙起源研究機構、宇宙地球環境研究所、環境学研究科、工学研究科航空宇宙工学専攻をはじめとする工学研究科を横断するプログラム担当者が参加しており、全員が協力してこの教育プログラムを実りあるものにするために努力していきますので、多くの学生の積極的な参加を期待しています。

プログラムコーディネーター
田島 宏康
宇宙地球環境研究所・教授

▲ページの先頭へ戻る

ホームへ戻る